FUJI
CARDIA Travel mini DUAL-P
朝日ソノラマ発行『カメラレビュー クラシックカメラ専科 No.44 富士写真フィルムのカメラ』は面白い。子安栄信氏(北海道フジカラー(株)の代表取締役とある)がそのカメラコレクションに基づいて記事を書いておられるのだが、これが実に網羅的で、とりわけ膨大な種類が存在するコンパクトカメラに関してはおそらく、これを上回る資料は無いだろう。
古本屋で見つけ眺めていると思わず引き込まれてしまった。それまで全く視圏の外だったフジのコンパクトカメラが気になりはじめ、最早どうしようもない。
カメラ屋のジャンク箱を探せばフジのコンパクトカメラなんぞ幾らでも掘り出せる。今まで発掘作業の障害としか見なしていなかったものが突如として宝の山に変貌したのだから、人生何が起こるかわからない。
フジは一時期、ズームレンズよりも2焦点レンズを搭載したカメラに力を入れていた。テレ側ではレンズのリアにコンバージョン・レンズがセットされる仕組みで、このカルディア・トラベルミニ・デュアルPは28mmと45mmの2焦点。ズームレンズでも使うのはほとんど両端の焦点距離なのだから、2焦点というのはむしろ使いやすいと思う。
1990年発売。販売数はかなりあったようでジャンクワゴンでの発見率は高い。100円で救出した本機は不動ということであったが、こちらには勝算があった。バッテリーはCR123Aだが、これとは別に裏蓋液晶表示用にCR2025が必要である。これが切れると本体も動かない。この事実を知らずジャンク扱いされているものが多いのである。
持ち帰ってCR2025を取り替えてみると見事復活。レンズカバーの動きに問題のある機体が多いがこの不具合もなかった。
よく写ると定評のあるカメラだが、たしかにワイド側はそこそこ良い。しかし使ってみると具合の悪いところもある。ゴム製のボタン。押すのに意外と力が必要で、シャッターボタンはいったいどこでキレるのか分からず気をつけないと手ブレを連発する。その他のボタンも実に押し辛い。フジもこれを問題としたようで、マイナーチェンジ後はプラスチック製の押し易いものになった。その際不具合の多いレンズカバーも廃止されている。

1980年〜90年代のコンパクトカメラに関するまとまった資料は無いと言ってよいだろう。何某かがそのコレクション価値を認め、網羅的にまとめあげる事業を成し遂げることを期待してやまない。今がその最後のチャンスだと思うのだが...
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